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アードベッグ ウーガダールとスコットランド旅行のすすめ

アードベッグ ウーガダールが再入荷しました。
とりたてて珍しいボトルではないですが、個人的に現在のアードベッグの定番ラインナップの中ではベストバイだと思うので紹介します。
Ardbeg Uigeadail

現在の日本での正規ラインナップは、
ウィー ビースティー 5年
10年
アン オー
ウーガダール
コリーヴレッカン
の5つです。

年数表記のないボトルが多いので一般の方には整理しにくいでしょう。公式サイトを見ると詳しく書いています。
公式サイトを見ても分かりにくいと思います。正直、僕も「アンオーって何だったっけ?」みたいによく忘れます。

このような樽違い、フィニッシュ違いは違いが細かすぎてハイボールで飲むとまったく分からないと思います。ロックでも厳しいです。普段、10年をストレートで飲んでるなら色々試してみると面白いですよ。

ウーガダールはシェリー樽原酒をブレンドしており、ボディーに膨らみがあってバランスが良く奥深さも持っており、価格も手ごろなので定番ラインナップの中ではとても優等生です。以前は熟成年数の若いものから長いものまで幅を持ってブレンドしていたそうですが、原酒が不足気味の現在はどうなのでしょうね?10年ぐらい前のボトリングのウーガダールを見つけたら飲み比べてみると面白いかもです。


アードベッグは1815年創業の200年を超える歴史のある蒸留所です。長い間、不遇な時代が続きましたが、1989年に生産が再開されたときから1997~2004年のグレンモーレンジ所有の15年ほどの期間は良いボトルがたくさんリリースされました。伝説級の1970年代のビンテージや当時定番の17年、30年などなどどれもクオリティーが高く美味しいボトルでした。

転機が訪れたのは2004年末。LVMHが買収して以降、ブランド力の向上に努め国際ブランドとして拡販を目指しました。2010年頃からの世界的なウイスキーブームの波にうまく乗り、ここ数年は日本でも一般認知度が急激に高まっています。2000年以前はアイラモルトを飲むなんて相当の変わり者扱いだったのですが、こんなに人気になるとは夢にも思いませんでした。


アイラ島へは飛行機で行くことも出来ますが、自動車とフェリーがだんぜんおすすめです。グラスゴーからフェリー乗り場のケナクレイグまでは2時間半。
こんな絶景で気持ちの良い道が続きます。スコットランドの西側の景色は見ごたえがあっておすすめです。良い子のみんなは撮影しながらの片手運転はやめましょう。

カルマックのフェリーにはバーもあるので船旅も退屈しません

アイラ島は淡路島ぐらいの面積に人口約3200人が住む、島の大半は無人の荒野が広がる超田舎の島です。アードベッグ蒸留所はアイラ島の南岸に位置し、フェリー乗り場のある島の玄関口になるポートエレンの町から東へ5㎞ちょっと。
道路からの眺め

定番ショット

まだ自動車も存在しない昔は、船でウイスキーを運んでいたので歴史のあるアイラ島やその他の島の蒸留所は海のそばに建っています。名前をデカデカと書いているのは船から見付けやすいようにするためです。島のウイスキーの特有の潮の香は、このような理由からの副次的な産物なのです。

画像は見学ツアー中に「おーい、桟橋にアザラシいるぞ」って教えられて、皆で見に行った時に撮影したものです。ツアーは僕とアメリカ人の4人組だけでした。2008年当時、アイラ島に訪れる人々の目的はほぼキャンプでした。見学者の大半は「ウイスキーが有名らしいから暇だしついでに見とこうか」ぐらいの感じでした。どこの蒸留所もツアー後の試飲は無制限で、ガイドさんはEnjoy!って言葉を残してどこかへ消えていきました。アイラ島まで世界中からウイスキー好きが訪れるようになった今では考えられないぐらいのんびりしていました。

モルトミル
麦芽を粉にする機械です かなり年期が入ってます

発酵層は木製

スピリットセーフ
蒸留液の美味しいところだけを切り分ける機械です


ポットスチルはやたらと黒々していました なんでだろう?


村上春樹の本の影響もあってか、アイラ島に行ってみたいというウイスキー好きが多いですが、行くまでに時間は掛かるわ、行っても蒸留所以外に何もないので、よほどの思い入れが無い限り初めてのスコットランド旅行にアイラ島はあまりおすすめしません。
ちなみに僕の場合、家を出発してペイズリーのホテルへ着くまでに22時間。1泊して朝早く出発してキャンベルタウンにも寄ったのでアイラ島に着いたのは18時を過ぎていました。時差が9時間あるので家を出発してからの実際の経過時間は48時間近く掛かっています。何も無いのが良いところの雄大で静かな島ですが、旅行としてならスカイ島やスペイサイドをおすすめします。

2012年に嫁さんとスコットランドに行ったときは、スカイ島、スペイサイド、エジンバラのコースでした。道中の景色は絶景だらけで見飽きないし、城も飽きるほど見れて蒸留所もたくさんあります。あちこちのパブで地方ごとのローカルビールも楽しめます。道中の町々には宿もたくさんあるので予定も決めずブラブラと旅しても困ることはありません。
こんなルートでした。我ながら良いルートだったと思います。嫁さんも楽しかったからまたスコットランド行きたいと言ってます。ご参考までに。



もし僕らのことばがウィスキーであったなら - 村上春樹
ウイスキー好きには定番のアイラ島アイルランドを巡るとても楽しめる旅行記です。そういえば誰かに貸したきり返ってきていないなぁ。