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嘉之助2021 First Edition 入荷しました

 鹿児島県の新しいウイスキー、嘉之助のファーストエディションが入荷しました。

シングルモルト嘉之助2021 First Edition

小正嘉之助蒸留所は日本初の長期熟成米焼酎メローコヅルでお馴染みの小正醸造が運営しています。嘉之助という名前は現社長のおじいちゃんの名前だそう。


三宅製作所製のサイズの異なる大中小の蒸留器を保有しており、大小は再蒸留用で、中は初留も再留も出来るらしく、組み合わせて様々なタイプの原酒を作り分けているそうです。将来的には3回蒸留のウイスキーとかも出てくるかもしれませんね。


今回のボトルはようやく3年を経てウイスキーとして販売された第1弾です。

メローコヅルの熟成に使用したアメリカンホワイトオーク樽を柱に複数の樽をバッティング。焼酎樽なんて日本ならではで面白いですね。やや赤みがかっているのでシェリーかワイン系の樽も使っているのでしょうか?

香りは甘い木の香り。シュガースポットが出る前の黄色いバナナ。焼酎の香りが感じられます。さすがに3年なので、やや未熟な溶剤のような香りが残りますが、それほどマイナスな印象ではありません。

ボディーはメローでミディアムライト。口の中でパンッと弾けるなぁと思ったらカスクストレングスで度数が58%もありました。しかしアルコールの強さを感じさせないバランスの良さがあります。後味はホットでスパイシー。タリスカーに通ずるものを感じました。

3年物としてかなり上出来です。


蒸留所のテイスティングノートは

TASTING NOTE

COLOR(色):アンバー・夕陽

NOSE(香り):ライム・プルーン・レーズンバター

TASTE(含み):メローでウッディ・バニラ・ニッキ

FINISH(余韻):オランジェットのほろ苦さ・ふわりと潮風

となっております。


ウイスキーガロア8月号に掲載されている2名のテスターのスコアは両名とも86点と高評価。 シナモン、ジンジャーという表現が共通していますね。プロのテイスティングに共通するのは濃厚なフルーツの甘い香りとシリアル、ウッドです。バナナって言ってるのは僕だけでした。僕の嗅覚なんて所詮この程度です。スパイシーな後味はクローブと言われれば納得。そうクローブっぽいですね。最近スパイスカレー作りに凝っていて家にクローブ大量にありますの、まさにあれです。


定価13750円と3年物としては少々お高めですが、現状では適正価格だと思います。

今現在は急に世界に認知されて、入手困難なカルトウイスキーとしてジャパニーズウイスキーのブランド力が高いので現状が保たれていますが、シングルモルトスコッチならスタンダードレンジで日本では4000~5000円、海外ではUS$50~60(実は日本って競争が激しいので安いんです)。10年20年後にグローバルで販売するのならコレらと真っ向勝負することになるかもしれません。

  • 生産規模を拡大してコストダウンを図るか
  • ブランド力を高いまま保ち続けるか
  • 真正面から戦わず戦略を変えるか
1990年代2000年代のジャパニーズウイスキーの燦々たる状況を知る身としては、まだまだ越えなければならない課題が多いと思います。


ちなみに上記3点全てを駆使して短期間で成功しているのが台湾のカバランです。まず最初から親会社の資本がデカい、低額商品は売らずに富裕層を狙い撃ち、様々な樽のフィニッシュを駆使して多彩な商品展開、あえて熟成年数は表記せず一般消費者の購買判断を煙に巻く。巧みで完璧な戦略です。もちろんウイスキーの品質は高いし、パッケージも含め消費者を満足させる商品を作っています。いちおう業界に身を置く専門家としての評価は、正直チョイ割高だと思いますが、それを納得させるだけのブランドの魅力があると思います。


個人的にはジャパニーズウイスキーも色々な蒸留所が業務提携なりグループ化して規模を増強して、世界市場でグレンリベットやグレンフィディックと真っ向勝負できるブランドが生まれたら嬉しいです。理想はマッカランのように高い品質とブランド力を兼ね備えることですかね。

しかし日本の新しい蒸留所はラベルとパッケージデザインがいまいちイケてない所が多い。消費者に手に取ってもらうには酒屋の棚やバックバーで映えるデザイン大事です。やはり綺麗なラベルを眺めながら飲むと美味しく感じますし、購入後の満足感にも繋がりますしね。デザインも商品の総合力を高める大事なポイントです。

今回の嘉之助も、僕のスコアはウイスキーは85点ですがパッケージデザインは67点です。フォントに高級感が無い。あとロゴとかブランドアイコンみたいなのが欲しいかな?やっぱり鹿児島だけに桜島とかかしら?WEBサイトは見易くスマホ対応もばっちりでデザイン素晴らしいです(小正嘉之助蒸留所公式ページ)。厳しいこと言ってスミマセン。


嘉之助蒸留所の記念すべきファーストエディション、ぜひご堪能ください。


この号にテイスティング載ってます。特集は今勢いのあるアイリッシュウイスキーです。