岡山 BAR SEVENじゃがな

岡山でバーやってます

フードファディズム

 次の文を読んで以下の問に答えてください。

A 夜はキャバクラで働いているが、昼は大学で学んでいる

B 昼は大学で学んでいるが、夜はキャバクラで働いている

問 どちらの人物の方が真面目だと思いますか?

状況は同じですが大半の人はAのほうが真面目な子だと感じるでしょう。Aは「実家が貧しくて学費を稼ぐためにキャバクラでバイトしてんのかな」って勝手に想像したりして。Bは「遊ぶ金が欲しくてキャバクラでバイトしてんのかな」って勝手に想像したりして。
これは報道やメディアに携わる人や営業職、販売業のひとにとっては印象操作の超基本です。どちらを前後するかと、「〜だが」を使うのがミソですね。物を売るときに覚えておいて損はないですよ。


ここから本題
先日、お客さんが気にしていたこと。家で安いウイスキー買ってハイボールで飲んでいるそうなのですが、原料にスピリッツが使われているものは体に悪そうだから選ばないとのこと。う〜ん……。
コンビニに確認に行ったら確かにグレーンスピリッツと表記したボトルがありました。Grain(小麦やトウモロコシなどの雑穀)が原料ということです。グレーンウイスキーではなくグレーンスピリッツということは未熟成のアルコールを使用しているということでしょう。ようはウォッカみたいなもんです。

日本の酒税法におけるスピリッツとはジンやウオッカ、ラム、テキーラのことです。大雑把にいうと穀類を原料にした蒸留酒で樽で熟成していないものです。おそらくウイスキーに使われているのはウオッカみたいな風味の無いアルコールです。これは日本の酒税法においてウイスキーの最低熟成年数の規定がないのでカサ増しで使われていると思われます。世界に評価されるジャパニーズウイスキーの製法としては褒められたものではないですが、スピリッツだからって体に悪いわけではありません。今後数年掛けて国際基準に合わせることになっています。

そのお客さんは話した感じでは英語が苦手そうだったし、短絡的によく分からないカタカナ=何だか体に悪そうという判断だったと思われます。いまどきスマホ持っているんだから、そんなに気になるなら調べればいいと思うのですが。そもそも、未知の物を怖がる前にウイスキーの成分で一番体に悪いのはアルコールです。

特定の食べ物・飲み物の健康に与える影響を過大に信じることをフードファディズムと言います。よくある例ではポジティブなものだと「1日スプーン1杯のオリーブオイルは体に良い」とか「納豆を毎日食べると体に良い」とか。天然酵母なんてのも何だかよく分からないけど良さそうな気がしますよね。ネガティブな例では食品添加物や遺伝子組み換え食品、マクドナルドなどのファーストフードは体に悪い、とか。

結論から言うと、一般的に市販されている食品でメチャクチャ健康に良いものも無ければ悪いものもありません。オリーブオイルに含まれるオレイン酸や納豆に含まれるナットウキナーゼが明らかに人体にとって有用ならば製薬会社が薬を開発して市販します。でもオレイン酸やナットウキナーゼの薬なんて無いでしょ?サプリメントはあるんですがそもそもサプリメントは気休めです。期待するほど薬にも毒にもなりません。逆に食品添加物が体に悪いなら、こんなにも幅広くあらゆる食品に使用されていないでしょう。メーカーがリスクがあるものを使うわけがありません。

何であれ良くないのは過剰摂取です。過ぎたるは及ばざるが如しです。オリーブオイルを毎日スプーン50杯飲んだり味の素を毎食1瓶使えば、そりゃさすがに数年後に体壊すと思います。そこまで極端でなくとも、現代社会において一番体に悪いのは食べ過ぎ飲み過ぎることだと思います。甘さ控えめの物も大量に摂取すれば控える意味が無くなります。

余談ですが、つい先日、用事で昼食が遅れてしまい、時間も遅いし嫁さんはサクッと日清のカップヌードルが食べたいと希望。あれ?ところで娘ちゃん(高1)、カップヌードルって食べたことある?と聞いたら「無い」との答え。確かに娘にはインスタント食品を与えた記憶がほとんどない。16年も人間やっていて世界累計販売数が500億食を達成した日本が誇る食べ物を食べたことがないというのもアレなんで、これも食育の一貫ということで食べさせてみました。物凄く味が濃いと驚いていました。慣れてない人にとっては塩分多過ぎ・旨味強過ぎですよね。高度に加工されたものは栄養バランスが悪く旨味が強過ぎるものが多いです。最近廃れてきた高級食パンなんかもなんで美味しいかと言うと、生地に大量のクリーム混ぜているからです。シットリとしてそりゃ美味しいですが、脂質&炭水化物でカロリーもの凄いですよ。

僕は食べることも料理することも好きだし、自分は置いておいても子供の健康や食育は気にしますから、色々と考えたり調べたりしています。簡潔にひとつだけ言うならば高度に加工されたもの・パッと見て原料が何か分かりづらいものを口にするときは食べる前に調べる習慣を身に付けておくです。食と健康は気にし過ぎも気にしなさ過ぎても駄目。栄養と同様、バランス良くが肝心です。

と偉そうなことを言っているワタクシもアルコールは3日でウイスキーボトル1本+その他のお酒を飲む生活をかれこれ20年以上続けています。明らかにアルコールの過剰摂取ですがまだ生きています。

人生で3万個もビッグマックを食べても至って健康な人もいます。


あと環境も破壊して人体にも悪影響があり最悪死をもたらす史上最悪の有害物質DHMOという存在もお教えしておきます。昔も記事にしたので詳しいことは自分で調べてね。


連休中の美味いもの
よりしま多幸半で若竹煮
昔から人気店ですが、ようやく初めて行くことが出来ました。魚も野菜も瀬戸内の食材を中心に揃えていて県外からのお客さんにおすすめしやすい良い店です。もちろん料理はいずれも美味。〆鯖の刺し身が柔らかい酢のバランスが絶妙でとても美味しかったです。
日本酒が進みます
食の健康だけでなく、海の幸のわかめと山の幸の筍の旬が出会う今の時期という、ちゃんとしたものを美味しくたべるための食の知識もキチンと子供に伝えたいですね。大人としても知っているとメニュー選びが変わります。と言いながら子供と犬に留守番をお願いして久しぶりに嫁さんと二人で出掛けたときの料理ですが。ちなみに奥は黄ニラのだし巻き卵。美味かった。

シエルブルーのラムレザン再び
備中国分寺に梅を見に行くということを口実にまたまた買いに行きました。ホント至福のひととき。改めてラムレーズンのラムの香りが素晴らしい。バーテンダーとして使っているラムの銘柄が気になるところ。セントジェームスとかかしら?厨房を盗み見するためにまた行くことになると思います。

僕は食に対して関心が高すぎるため、あれもこれも食べたいので結果体は不健康です。改めて言いますが一番悪いのは食べ過ぎ飲み過ぎです。